2012年 02月 26日
ふたつのK
【ショートショート::ふたつのK】
その日、男はひとり深夜に帰宅した。
風がぴたりと凪いだ真冬の冷気は、アスファルトの上に濃密に積み重なり町全体をおおいつくしている。
玄関先の郵便受けから何枚かのチラシと夕刊を取り出し、ふと彼は空を見上げた。
そこには酷薄なまでに澄み切った冬の夜空にカミソリのような月とそれに負けじと黄色く輝く一つ星が浮かんでいた。
その冷徹さにしばし見とれていた彼は、やがて首に巻いたスカーフをかき合わせるようにして身をすくめ、家に入るため玄関に向かって歩き始めた。
と、その時、、、、背後に女性の声が鋭く響いた__「XXさんっ!」
誰だ?いったいこんな夜更けに・・・
しかも、ぼんやりとした門灯に浮かぶシルエットはどうやら髪の長い若い女性のようだ。
「あ、、、き、君は、、、!」
「な〜んやあ、お隣のHちゃんやんかー。ああーびっくりした」
ニコニコ笑って立っていたのは、仲良しのお隣さんちのお嬢さん、Hちゃんでありました。
「これ、XXさんにお渡ししたかったんですー」
と彼女がバッグから取り出したのは、ちっちゃなカメラのキーホルダー。彼女がたまたま手に入れたminiカメラのキーホルダ。私がカメラ好きであることを知っていた彼女は、きっと私が喜ぶだろうと思ったんだそうです。
今、package designerの道をめざして必死で頑張っている彼女とは、なかなか普段顔を合わせることもないのですが、やはりたまたま遅くに帰宅した彼女がこの夜、私の姿をみつけてくれたと言うわけです。
門灯の下で「ん?ひょっとしてPENTAX?」とは、思いましたが、なんとなんと、機種までぴたりとは・・・
もちろん私がPENTAX使いであることも、K5使いであることも彼女は知りませんでした。
嬉しかったよ。
徹夜続きの彼女の部屋の窓明かりは、夜遅くから夜明けまで消えることがありません。今、アプライしているレポートが通れば、Londonへの留学が決まります。
がんばれHちゃん、めざせLondon!
その日、男はひとり深夜に帰宅した。
風がぴたりと凪いだ真冬の冷気は、アスファルトの上に濃密に積み重なり町全体をおおいつくしている。
玄関先の郵便受けから何枚かのチラシと夕刊を取り出し、ふと彼は空を見上げた。
そこには酷薄なまでに澄み切った冬の夜空にカミソリのような月とそれに負けじと黄色く輝く一つ星が浮かんでいた。
その冷徹さにしばし見とれていた彼は、やがて首に巻いたスカーフをかき合わせるようにして身をすくめ、家に入るため玄関に向かって歩き始めた。
と、その時、、、、背後に女性の声が鋭く響いた__「XXさんっ!」
誰だ?いったいこんな夜更けに・・・
しかも、ぼんやりとした門灯に浮かぶシルエットはどうやら髪の長い若い女性のようだ。
「あ、、、き、君は、、、!」
「な〜んやあ、お隣のHちゃんやんかー。ああーびっくりした」
ニコニコ笑って立っていたのは、仲良しのお隣さんちのお嬢さん、Hちゃんでありました。
「これ、XXさんにお渡ししたかったんですー」
と彼女がバッグから取り出したのは、ちっちゃなカメラのキーホルダー。彼女がたまたま手に入れたminiカメラのキーホルダ。私がカメラ好きであることを知っていた彼女は、きっと私が喜ぶだろうと思ったんだそうです。
今、package designerの道をめざして必死で頑張っている彼女とは、なかなか普段顔を合わせることもないのですが、やはりたまたま遅くに帰宅した彼女がこの夜、私の姿をみつけてくれたと言うわけです。
門灯の下で「ん?ひょっとしてPENTAX?」とは、思いましたが、なんとなんと、機種までぴたりとは・・・
もちろん私がPENTAX使いであることも、K5使いであることも彼女は知りませんでした。
嬉しかったよ。
徹夜続きの彼女の部屋の窓明かりは、夜遅くから夜明けまで消えることがありません。今、アプライしているレポートが通れば、Londonへの留学が決まります。
がんばれHちゃん、めざせLondon!
by wwmc
| 2012-02-26 22:11
| フォトブログ大阪