2015年 08月 25日
道央の夏2015:3:雲中で待つ
「さあ着きました、ここが東雲湖です」 Mさんの掛け声に苦笑する一行。
湖面はまったく見えず、ミルクを流したようなもやが周囲をやさしく包み込んでいます。でもそれはとても安らいだ気分。
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さすがに「北海道の三大秘湖」と言われるだけあり、周囲は静か、人の気配はまったくありません。
私たちは岩に腰掛け、振る舞われた温かいミルクティーを味わいながらその静寂を楽しみます。 私は普段、蜘蛛の巣を撮ろうと思うことはあまりないのですが
この日こちらでみかけた巣は実に素晴らしくて 何度もシャッターをきってしまいました。 * PhotoClickで拡大 *
歩いてきた我々の動きが止まったためもあるのか
白いもやの中から聞こえる特徴的な鳴き声が次第に周囲に増えてきます。
それは氷河期の生き残りなどとも称される「ナキウサギ」の声。 その愛くるしい姿から人気者の彼らはこんなふうな岩が沢山ある高地の斜面に生息するそうです。 * PhotoClickで拡大 *
この夏は特に鳴き声が沢山聞こえるそうで、この日も半端じゃなく
まるでそこら中に何十羽も隠れて私たちに呼びかけてくれているかのよう。 でもちっこくてすばしこい彼らの姿を肉眼で見るのはなかなか骨が折れます・・・
と、そのとき声を潜めた叫び声
「あっ居たっ!」
とうとう出会えました。 前夜から何度も何度も声だけを聴き続けてきたナキウサギがすぐ目の前に姿を現しました。 * PhotoClickで拡大 *
Mさんによるとまだ生まれて1年以内の子供だそうです。 ほんの数十秒ですぐに姿を隠した彼でしたが、その後もしばらくは私たちの周囲で遊んでいる気配でした。
徐々に薄れ行く雲の中を帰る私たちの表情はきっとニコニコしていたに違いありません。 前夜からガイドの方々に伺ったいくつものお話し、、、火山、岩場、植生、コケの森、風穴、氷河期、そしてナキウサギ...
それらの言葉が森の中をあるく私の脳内で、すっとひとつに結びついたような ちょっと不思議で満ち足りた気分でふたたびカヤックに乗り込みました。
湖面はまったく見えず、ミルクを流したようなもやが周囲をやさしく包み込んでいます。でもそれはとても安らいだ気分。
by WWMC
| 2015-08-25 18:08
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